連結決算業務に対して「子会社が増えるたびに作業が複雑化している」「各社からのデータ集計に時間がかかりすぎる」「手作業での処理によるミスが心配」といった課題を抱えていませんか?
Excelでの手作業や古い会計システムによる非効率な連結決算業務に悩まされている方は多いものです。データの収集から照合、仕訳まで、膨大な時間と労力が必要になるほか、ヒューマンエラーのリスクが高まることも問題点として挙げられます。
そこで本記事では、連結会計システムの基礎知識から、主要な機能、メリット・デメリット、さらには人気の連結会計システムの比較5選までを網羅的にまとめました。また、システム選定時のポイントや、スムーズな導入のためのステップについても詳しく説明します。
業務効率化を実現しながら正確な連結決算を行いたいと考えている経理担当者の方は、ぜひ最後までご一読ください。
連結会計システムとは?
連結会計システムとは、企業グループ全体の財務状況を正確に把握・管理するためのITソリューションのことです。主に、親会社および子会社、関連会社などの財務データを一元的に収集・統合し、連結財務諸表を効率的に作成するためのシステムとして役立ちます。
連結会計システムの主な特徴は、以下のとおりです。
特徴 | 詳細 |
---|---|
データの一元管理 | 各社の会計データを統一されたフォーマットで収集・管理し、グループ全体の財務情報を一括で把握できる |
自動化機能 | 連結決算特有の複雑な処理(債権債務の相殺消去、未実現利益の消去など)を自動的に実行し、作業効率を向上できる |
コンプライアンス対応 | 会計基準の変更や法令改正にも柔軟に対応できる設計になっている |
主な利用企業としては上場企業をはじめとする企業グループが挙げられますが、近年では非上場企業でもグループ経営の効率化や経営判断の迅速化を目的として導入するケースが増えています。特に海外子会社を持つ企業や急速な事業拡大により子会社が増加している企業にとって、連結会計システムは不可欠なツールといえます。
またクラウド型の連結会計システムの登場により、中小企業グループでも比較的手軽に導入できるようになってきており、導入企業は着実に増えているのです。
連結会計システムの必要性とは?
近年のビジネス環境において、連結会計システムの導入は企業グループの財務管理に不可欠な要素です。
その理由として、以下の3点が挙げられます。
理由 | 詳細 |
---|---|
業務効率化が可能になるため | 自動化による作業時間削減とヒューマンエラー防止 |
管理強化が目指せるため | 複数会計基準への対応と内部統制の向上 |
迅速な判断が可能になるため | グローバルな経営情報をタイムリーに把握 |
特に子会社や関連会社を多数抱える企業グループにとって、その必要性は年々高まっています。さらに、監査対応の効率化や、投資家向け情報開示の質的向上など、ステークホルダーとの関係強化にも貢献します。
このように連結会計システムは単なる業務効率化ツールではなく、企業グループの持続的な成長と価値向上を支える重要なインフラとして位置づけられているのです。
連結会計システムの主な目的
連結会計システムは、グループ経営における財務報告の要となるツールです。主な目的として、以下の3つが挙げられます。
- 連結財務諸表の作成
- 会計基準への対応
- 業務効率化と精度向上
以下では、それぞれの目的について詳しく見ていきましょう。
(1)連結財務諸表の作成
連結会計システムは、データ収集や集計、内部取引の相殺仕訳など、複雑な連結処理を効率的に行うことで、連結財務諸表の迅速かつ正確な作成を可能にします。この仕組みにより、グループ全体の財務状況や経営成績をスムーズに把握できるようになり、経営判断のスピードと精度が向上します。
例えば100社規模のグループ企業であっても、各社の売上や経費、資産負債などのデータを一元管理し、グループ内取引を自動的に相殺することで外部への正確な財務報告が可能です。
(2)会計基準への対応
連結会計システムは、日本基準、IFRS(国際財務報告基準)、US GAAP(米国会計基準)など、さまざまな会計基準に対応する機能を備えています。適用される会計基準に基づいて財務データを適切に処理できます。
特に、グローバルに事業を展開する企業では、複数の会計基準に同時に対応しなくてはなりません。その点連結会計システムであれば、各国の会計基準の違いを吸収し、必要に応じて仕訳の変換や組替えを自動的に行うことで、基準間の差異を適切に処理できます。国際的な投資家や規制当局からの要求にも柔軟に対応できるでしょう。
(3)業務効率化と精度向上
連結会計システムを用いデータ収集や集計、内部取引の相殺仕訳などの作業を自動化することにより、業務効率を向上できます。従来の手作業やスプレッドシートによる処理と比較して、作業時間を削減し、人為的なミスのリスクを最小限に抑えられるのです。
例えば月次での連結決算作業において、各社におけるデータ収集から連結財務諸表の作成まで、一連の作業を自動化することで作業時間を短縮できます。
また、データの整合性チェックや監査証跡の記録など品質管理機能も充実しており、財務報告の信頼性向上にも貢献します。
連結会計システムの主な機能
連結会計システムの主な機能として以下が挙げられます。
- データ収集
- 連結仕訳の自動化
- 多通貨対応
- レポート作成
- 監査対応
それでは、各機能の詳細を見ていきましょう。
(1)データ収集
連結会計システムのデータ収集機能により、グループ会社全体の財務情報を効率的に一元管理できます。各社で使用している会計システムが異なる場合でも、専用のインターフェースやマッピング機能により、データの取り込みをスムーズに行えます。
例えば、ExcelやCSVファイルでデータを受け取る場合でも、システムが自動的に必要な項目を認識し、統一されたフォーマットに変換可能です。また、データの入力状況や承認状況をリアルタイムで確認できる機能も備えており、期末の煩雑な作業を軽減できます。
(2)連結仕訳の自動化
連結仕訳の自動化機能により、グループ内取引の相殺消去を効率的に処理できます。従来は手作業で行っていた内部取引の照合や相殺仕訳の作成を、システムによって自動的に実行することで工数削減につながります。
また、未実現利益の消去や持分法による投資損益の計算なども自動化でき、人為的なミスを防ぎながら作業時間の短縮が可能です。
(3)多通貨対応
多通貨対応機能は、グローバルに展開する企業グループの決算業務に役立ちます。この機能は、海外子会社の現地通貨建ての財務データを決算日レートや期中平均レートなど、適切な為替レートで自動的に換算できる機能です。
為替変動による換算差額の計算や表示も自動で行われ、為替換算調整勘定の計上も正確に処理されます。さらに、過去の為替レートデータを保持し、比較分析や監査対応にも活用できる機能を備えています。
(4)レポート作成
レポート作成機能は、連結財務諸表や経営分析に必要な各種帳票を自動生成できる機能です。法定開示書類や経営管理資料など、目的に応じたさまざまなフォーマットでのレポート出力が可能です。
例えばセグメント情報や地域別実績など、多角的な分析レポートを即座に作成できます。また、グラフや図表を活用した視覚的なレポートも作成でき、経営判断に必要な情報を分かりやすく提供できます。
(5)監査対応
連結会計システムは、連結決算プロセスの透明性と信頼性を高める機能も有しています。例えば、特定の仕訳の根拠となる元データまでさかのぼって確認できる機能や、計算ロジックの妥当性を検証できる機能などがその一例です。
すべての仕訳や計算過程が記録され、データの追跡が可能なため、監査人による確認作業を効率的に進めることができるでしょう。また、承認フローや操作ログの記録なども内部統制に役立ちます。
連結会計システムのメリット
連結会計システムを導入するメリットは、以下のとおりです。
- 透明性とデータの一元管理による信頼性の向上
- ガバナンスの強化によるリスク管理の徹底
- 業務効率化によるコスト削減の実現
具体的にどのような効果が得られるのか、詳しく見ていきましょう。
(1)透明性とデータの一元管理
連結会計システムの導入により、グループ会社全体の財務データを一元管理できます。例えば、子会社Aの売上データと子会社Bの在庫データを同じプラットフォームで管理し、連携するといった具合です。
このデータの一元管理により、経営層は即座に必要な情報にアクセスでき、投資家や監査法人などのステークホルダーへの説明もしやすくなります。また、データの改ざんリスクも低減され、より透明性の高い財務報告が実現できます。
(2)ガバナンスの強化
連結会計システムを活用することで、グループ全体の財務状況をリアルタイムでモニタリングできます。例えば、ある子会社で急激な売掛金の増加や在庫の異常な動きがあった場合、システムのアラート機能で即座に把握できるようになり、適切な対応策を講じられるようになるのです。
従来の四半期や月次での確認では気づけなかった異常値や変動を早期に発見することでグループ全体のガバナンス体制が強化され、より健全な経営を目指せます。
(3)コスト削減
連結会計システムの導入により、経理業務全体のコスト削減にもつながります。データ入力や照合作業、また今まで手作業で行っていた連結仕訳や内部取引の消去などもシステムで自動的に処理できるため、人件費の削減につながります。
また、人的ミスによる修正作業や二重入力の防止により、追加的なコストの発生も抑制可能です。例えば、月次決算にかかる時間を従来の半分以下に短縮できるケースも少なくありません。経理スタッフはより付加価値の高い業務に時間を割くことができ、組織全体の生産性向上にもつながります。
連結会計システムのデメリット
連結会計システムは業務効率化や経営の可視化に大きく貢献するツールですが、導入には以下のようなデメリットもあります。
- 導入に時間がかかる
- 操作や運用が難しい
- 初期導入コストと運用コストがかかる
これらのデメリットを事前に理解し、適切な対策を講じることで、スムーズな導入と効果的な運用が可能になります。
(1)導入に時間がかかる
連結会計システムの導入には、通常6か月から1年以上の期間を要します。既存の業務プロセスやシステムとの統合が複雑であり、特に複数の子会社や関連会社が関与する場合、各社の要件調整や業務フローの標準化に時間がかかるためです。グローバル企業では、各国の法規制や会計基準への対応も必要となり、さらに時間を要する可能性があります。
この課題に対しては、段階的な導入アプローチを採用し、まずは主要な子会社から開始することが効果的です。また、専門コンサルタントを活用して導入プロセスを効率化したり、現場との密接な連携を取り早期に課題を洗い出したりすることで、導入期間の短縮を図ることができます。
(2)操作や運用が難しい
連結会計システムは多機能で高度な機能を備えているため、操作の習得に時間がかかります。特に導入直後はスタッフが機能を十分に使いこなせず、むしろ業務効率が一時的に低下するケースも少なくありません。
また、連結決算特有の複雑な処理や、システムの設定変更などには専門的な知識が必要となります。
この課題に対しては、導入前からの計画的な社員教育が重要です。実務に即した操作トレーニングの実施や、詳細なマニュアルの整備により、現場スタッフの習熟度を高められます。また、直感的な操作が可能なシステムを選定することで学習コストを抑えることも可能です。
(3)初期導入コストと運用コストがかかる
連結会計システムの導入には、システム構築費用、カスタマイズ費用、データ移行費用、社員研修費用などの初期投資が必要です。導入後も継続的なライセンス費用や保守・サポート費用が発生するため、特に中小企業にとっては大きな財務的負担となる可能性があります。
この課題に対しては、まず導入前に詳細な費用対効果分析を行い、自社のニーズに最適なシステムを選定することが重要です。近年では初期費用を抑えられるクラウド型のシステムも増えており、運用コストを変動費として管理することも可能です。また、必要最小限の機能に絞ったカスタマイズを行うことで、不要なコストを削減できます。
連結会計システムの比較5選
連結会計システムの導入を検討する際には、自社に最適なシステムを選定することが重要です。市場には多くのシステムが存在しますが、機能や価格帯、導入実績などは各社で大きく異なります。
ここでは、国内で実績のある主要な連結会計システムの中から、特に注目すべき5つのシステムをピックアップして紹介します。
- DivaSystem LCA(株式会社ディーバ)
- STRAVIS(電通総研)
- クラウド連結会計ソフト 結/YUI(株式会社YUI)
- BTrex連結会計(株式会社ビジネストラスト)
- マネーフォワード クラウド連結会計(株式会社マネーフォワード)
それぞれについて、以下で詳しく見ていきましょう。
(1)DivaSystemLCA(株式会社ディーバ)
DivaSystem LCAは、連結会計システムのパイオニアとして25年以上の実績を持つ株式会社ディーバが提供している国内シェアNo.1の連結会計システムです。1,200社を超える導入実績があり、特に東証上場の時価総額上位200社のうち102社が採用している信頼性の高いソリューションです。
強みは、データ収集をはじめ、連結処理やレポーティング、決算開示まで、連結決算業務の全工程をカバーする包括的な機能性を有している点が挙げられます。ERPやその他会計システムとのデータベース連携による自動収集が可能で、300種以上の標準帳票を備えています。
制度連結と管理連結を1つのシステムで実現できる連結処理機能、多言語・多通貨対応、監査対応用の充実したレポート機能などが利用できる点も特徴です。標準機能が充実しているため、カスタマイズの必要性が少なく、短期間での導入が可能です。
【このような企業におすすめ】
- 連結決算業務の標準化・効率化を本格的に進めたい企業
- IPO準備中で、本格的な連結会計システムの導入を検討している企業
- グローバル展開を見据え、多言語・多通貨対応の連結会計システムを求める企業
- 監査対応の効率化や、開示業務の自動化を重視する企業
(2)STRAVIS(電通総研)
STRAVISは950社の導入実績を持つ連結会計システムであり、連結会計システムの標準として高く評価されているソリューションです。特徴は、制度連結から月次連結、連結予算、中期経営計画まで、幅広い連結会計業務に対応できる点です。
主な強みとしては、高度な検証機能と豊富な検証帳票によるデータのトレーサビリティ確保、監査人へのアクセス権限付与による監査対応の効率化などが挙げられます。また、ノンカスタマイズ導入率99%超を誇り、標準機能だけで連結会計業務に必要な機能をカバーできることも特筆すべき点です。さらに、バージョンアップ版が年に1~2回程度リリースされており、制度改正があってもスムーズに対応できる点も強みです。
システムの安定稼働と低コスト運用の両立を実現しているため、決算作業効率化や決算発表の早期化に貢献しています。
【このような企業におすすめ】
- 将来的な制度変更にも柔軟に対応できる、安定性の高いシステムを求めている企業
- 監査対応の効率化を図りたい上場企業
- カスタマイズなしで、すぐに連結会計業務を開始したい企業
(3)クラウド連結会計ソフト結/YUI(株式会社YUI)
結/YUIは、連結決算業務をよりシンプルかつ効率的に進めるために設計されたシステムです。最低限必要な機能に絞り込んだ設計により、複雑な操作を必要とせず、直感的に操作できます。
強みは、主要な会計ソフトとのAPI連携機能を有している点です。freee、勘定奉行クラウド、PCAクラウド会計などの会計システムと連携し、データを自動で取り込むことができます。連結パッケージの作成業務が効率化され、手作業による転記ミスも防止できます。
さらに、属人化を防ぐシンプルな設計により、担当者が変更になった際もスムーズな引継ぎが可能です。
【このような企業におすすめ】
- 連結決算業務の効率化を図りたいが、複雑なシステムは避けたい企業
- 主要な会計ソフトとのデータ連携を重視する企業
- 使いやすさとコストパフォーマンスを重視する中小企業グループ
- 連結決算の業務プロセスを標準化したい企業
(4)BTrex連結会計(株式会社ビジネストラスト)
BTrex連結会計は、累積導入実績が1000グループを超える連結会計システムです。公認会計士を含む会計実務家兼システムエンジニアによって自社開発されている点が特徴です。実務を熟知したプロが設計・制作に携わることで、現場のニーズを的確に反映したシステムを実現しています。
主な機能としては、データ入力から連結処理、レポーティング、管理会計まで、連結決算業務に必要な一連の作業をカバーしています。特に、範囲連結や段階連結、複数連結グループへの対応など、複雑な連結スキームにも柔軟に対応できる点が強みです。
システムの導入においては、FITGAP分析からデータ移行、トレーニング、稼働支援まで、きめ細かなサポート体制を整えています。また、専任担当者とサポートセンターの両面からのバックアップ体制により、導入後の安定運用もサポートしてくれるでしょう。
【このような企業におすすめ】
- 複雑な連結スキームを持つ企業グループ
- 手厚い導入サポートと安定的な運用を重視する企業
- 将来的なIFRS対応を見据えている企業
(5)マネーフォワードクラウド連結会計(株式会社マネーフォワード)
マネーフォワードクラウド連結会計は、クラウド型会計ソフトウェアのパイオニアとして知られるマネーフォワードが提供する連結会計システムです。最短1か月での導入が可能で、従来型のパッケージシステムと比較してコスト削減を実現しています。
特徴は、クラウドベースのシンプルで直感的なUIを採用していることです。子会社のPCへのインストール作業が不要で、担当者への教育工数も最小限に抑えられます。また、マネーフォワードクラウド会計およびマネーフォワードクラウド会計PlusとのAPI連携により、ワンクリックで個別財務諸表の収集が可能です。
主な機能として、Excelファイルの直接取り込み、リアルタイムでの経営状況確認、多拠点での同時編集などを備えています。導入支援も充実しており、eラーニングを活用した「セルフプラン」や、専任担当者による手厚いサポートを受けられる「サクセスプラン」から選択可能です。運用開始後も、会計事務所出身者や元経理担当者による専門的なサポートを受けることができます。
【このような企業におすすめ】
- 短期間での連結会計システム導入を目指している企業
- 子会社との連携におけるシステム導入の手間を最小限に抑えたい企業
- クラウドベースで場所を問わない運用を実現したい企業
- 専門家による手厚いサポートを必要とする企業
自社に合う連結会計システムを導入する手順
連結会計システムの導入は、企業の財務管理を大きく変革する重要なプロジェクトです。成功のためには、以下の6つのステップを着実に進めることが重要です。
- 現状分析と要件定義
- システムの選定
- 導入計画の策定
- システム構築とテスト運用
- 正式導入
- 運用後のフォローアップと改善
それぞれについて、以下で解説します。
(1)現状分析と要件定義
連結会計システム導入の第一歩は、現状の業務フローと課題を徹底的に分析することです。具体的には、連結決算の作業時間、エラーの発生頻度、手作業による負担などを数値化し、改善すべきポイントを明確にしましょう。
要件定義では、内部取引の相殺消去機能、自動仕訳機能、多通貨対応、各種会計基準への準拠など、必要な機能をリストアップします。この際、現場スタッフからのヒアリングを丁寧に行い、実務上の細かなニーズも把握することが重要です。
また、経営層との対話を通じて、経営戦略との整合性も確認します。将来の事業展開や組織変更なども考慮に入れ、柔軟に対応できるシステムの要件を定義しましょう。
(2)システムの選定
システム選定の段階では、要件定義で整理した機能要件を満たすシステムを複数ピックアップし、比較検討を行います。評価のポイントは、導入コストや月額利用料などの運用費用に加え、長期的な投資対効果です。
また、自社の規模や業種との適合性についても特に重視すべき点です。例えば、海外子会社が多い企業であれば、多言語・多通貨対応が充実したシステムを選ぶ必要があります。
さらに、クラウド型とオンプレミス型では初期投資や運用の柔軟性が大きく異なるため、自社のIT戦略に沿った選択が求められるほか、ベンダーの導入実績やサポート体制も重要な判断材料となります。
(3)導入計画の策定
導入計画の段階では、システム構築からデータ移行、テスト運用、本番稼働までの具体的なスケジュールを設定します。特に大切なのは、各フェーズでのマイルストーンと達成基準を明確にすることです。
段階的な導入アプローチも検討に値します。例えば、まず主要な子会社でパイロット導入を行い、そこで得られた知見を活かして全社展開を進めるという方法です。
また、ベンダーやコンサルタントとの役割分担を明確にし、プロジェクト体制を整備することも重要です。現場での混乱を最小限に抑えるため、研修計画や移行期の業務フローも併せて検討しましょう。
(4)システム構築とテスト運用
システム構築では、まず既存データの移行とシステム環境の整備を行います。この際、データの整合性チェックを徹底し、移行時のエラーを防ぐことが重要です。
勘定科目体系の設定や連結パターンの登録など、マスターデータの整備も慎重に進めます。また、自社の業務フローに合わせたカスタマイズも必要に応じて実施しましょう。
テスト運用では、実際のデータを使用して連結決算の一連の処理を行い、想定通りの結果が得られるか検証してください。特に、内部取引の相殺消去や為替換算など、複雑な処理については入念なテストが必要です。
(5)正式導入
正式導入の開始にあたって、まず操作マニュアルの整備と現場スタッフへの研修を実施します。特に大切なのは、日次・月次・四半期・年次の各業務サイクルにおける具体的な操作手順を明確にすることです。
また、システムトラブルや操作方法の問い合わせに対応するヘルプデスクを設置し、現場をサポートする体制を整えます。初期の運用では、ベンダーのサポート担当者を常駐させるなど、手厚いサポート体制を確保することでスムーズな移行を実現できます。並行して、旧システムから完全移行するまでにおける移行期間中の運用ルールも明確にしておきましょう。
(6)運用後のフォローアップと改善
システム導入後は定期的に効果測定を行い、当初の目的が達成されているか確認しましょう。具体的には、連結決算の作業時間、データ入力ミスの発生率、レポート作成のリードタイムなどの指標を継続的にモニタリングする必要があります。
また従業員からのフィードバックを収集し、操作性の改善や追加機能の実装を検討することも大切です。特にグループ会社の追加や組織再編などの際には、システム設定の変更が必要となるため、計画的な対応が求められます。
会計基準の改定や組織変更といった外部環境の変化にも適切に対応するため、定期的なシステムのアップデートと運用プロセスの見直しを行ってください。
自社に最適な連結会計システムを導入しよう
連結会計システムの導入は、グループ経営の効率化、そして透明性向上のための重要な一歩です。しかし、システムの選定や運用には専門的な知識と経験が必要となるため、多くの企業が悩みを抱えています。
ReaLightは「経理にLIGHTを」をミッションに掲げ、公認会計士を中心とした会計の専門家チームが、テクノロジーの力で経理業務を変革するサポートを行っています。会計・業務システムの導入経験が豊富なため、御社の業務フローや将来的な拡張性まで考慮した最適なシステム選定が可能です。
また、M&A後における業務統合や決算業務の体制構築など、連結会計システムの導入を通じて、経理部門全体の業務最適化までサポートいたします。連結会計システムの導入をご検討中の方は、ぜひご相談ください。