会計ソフトの移行を検討しているものの、適切なタイミングや具体的な手順がわからず悩んでいませんか?
事業規模の拡大や法改正、ソフトが使いにくいなど、さまざまな理由で会計ソフトの移行を考える方は多いでしょう。
しかし、データの互換性や新しいソフトの操作性など、気になる点は尽きません。
そこで今回は、会計ソフトの移行におすすめのタイミングや具体的な手順、注意点について詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、会計ソフトの移行時にお役立てください。
会計ソフトを移行するのにおすすめのタイミング
会計ソフトの移行は、ビジネスの成長や環境変化に合わせて行うことが多いです。以下に、会計ソフトを移行するのにおすすめのタイミングを紹介します。
- 個人事業主が法人化するとき
- 事業規模を変更するとき
- 法改正があったとき
- 必要な機能・サポート内容が変わったとき
- 使用しているソフトが使いにくいとき
- 経理DXを推進したいとき
それぞれ具体的に見ていきましょう。
タイミング①:個人事業主が法人化するとき
会計ソフトの移行を検討するケースとして、個人事業主が法人化するタイミングが挙げられます。個人用と法人用の会計ソフトの内容は、企業形態や税制に応じて大きく異なるためです。
法人化に伴い、業務の規模が拡大し、より複雑な経理業務が求められるようになるため、法人向け会計ソフトへの移行がおすすめです。法人向け会計ソフトは、法人特有の会計処理や税務申告に対応しており、より正確で効率的な経理業務を行うことができます。
例えば、個人事業主向けの会計ソフトには確定申告ができる機能が備わっているものがおすすめですが、法人向けの会計ソフトには不要です。代わりに、法人税の計算や決算書の作成など、法人特有の処理を自動化する機能が必要になってきます。
法人化のタイミングで会計ソフトを移行することで、法人化した後の会計業務をスムーズに行うことができ、経営の効率化にもつながるでしょう。
タイミング②:事業規模を変更するとき
事業規模が拡大して課税事業主になった場合や、会社の事業規模が大きく変更になった場合にも、会計ソフトを移行するのがおすすめです。
例えば、取引先が増加することで売掛金や買掛金の管理が複雑になるタイミングや、従業員が増加することで給与計算や経費精算などの人事給与管理機能が必要になるタイミングが該当します。
このような場合、より高度な機能を持つ会計ソフトに移行することで、業務量の増加や複雑化した会計処理に効率的に対応することができます。
事業規模の変更に合わせて適切な会計ソフトを選択することで、経理業務の効率化と正確性の向上を図りましょう。
タイミング③:法改正があったとき
最近でいえば、インボイス制度や電子帳簿保存法の改正など、会計や税務に関する法改正があるときも、会計ソフトの移行のタイミングとしておすすめです。
最近改正された電子帳簿保存法では、目的の1つとして、クラウド会計ソフト等の活用による記帳水準の向上が挙げられており、これを機にDX化に踏み切る会社も増えています。
古いソフトウエアでは新しい基準に対応できないため、正確なデータ処理や税務申告などが難しくなるケースは少なくありません。そのため、最新の法令や会計基準に適合しているソフトに乗り換えるベストタイミングといえるでしょう。
法改正に対応した会計ソフトを使用することで、コンプライアンスを維持しつつ、効率的な会計処理を目指しましょう。
タイミング④:必要な機能・サポート内容が変わったとき
業務の成長や変化に伴い、新しい機能やサポートが必要になったときも、会計ソフトの移行を検討するべき重要なタイミングです。
具体的には、既存の会計ソフトの機能が不十分だと感じるときや、リアルタイムでのデータ共有が必要になったときなどに、新しい会計ソフトへの乗り換えをおすすめします。
例えば、複数の部門や拠点間でのデータ共有であれば、クラウド型の会計ソフトへの移行が効果的です。また、より詳細な財務分析や予算管理機能を求めるなら、高度な機能を持つソフトへの移行を検討してください。
必要な機能やサポート内容に合わせて最適な会計ソフトを選択することで、業務効率の向上や経営判断の精度向上につながります。
タイミング⑤:使用しているソフトが使いづらいとき
入力が煩雑、操作がしづらいなど、UI/UXが見づらいと感じているときも、会計ソフトの移行を検討するタイミングといえます。
従業員にとって、使いやすさは業務効率に直結するため、操作性の高い会計ソフトを選ぶことがおすすめです。
例えば、直感的な操作が可能なインターフェースや、カスタマイズ可能なダッシュボードを持つソフトは会計ソフトの中でも人気がありますので、移行を検討してみましょう。
また、社内や顧問税理士との連携が円滑に行えるよう、データの共有や連携機能が充実したソフトを選ぶこともポイントです。
使いやすい会計ソフトを導入することで、入力ミスの減少や作業時間の短縮、さらには従業員のストレス軽減にもつながります。
タイミング⑥:経理DXを推進したいとき
業務の負担を軽減したい、人材不足を解消したいなどの理由で経理DXの推進を目指すときも、会計ソフトの移行を検討するべきタイミングです。
経理DXの実現には、AIを活用した仕訳の自動化機能や、銀行口座などとの自動連携機能を持つソフトへの移行がおすすめです。また、どの銀行と連携可能か他のビジネスツール(例:CRMシステムや在庫管理システム)とのスムーズな連携が可能かどうかも選択基準となります。
経理DXを推進するための適切な会計ソフトを選択することで、業務効率の向上や人的ミスの削減、さらにはリアルタイムでの経営状況の把握が可能です。
会計ソフトの移行手順は?
会計ソフトの移行は、慎重に進める必要があります。ここでは、会計ソフトを移行する際の基本的な手順を紹介します。
- 移行に必要なものを準備する
- 移行先の会計ソフトを決める
- データを移行する
- 設定やデータが適切であるか最終チェックを行う
それぞれの手順について、詳しく見ていきましょう。
手順①:移行に必要なものを準備する
会計ソフトの移行を行うために、必要なものをそろえましょう。具体的には、主に以下のものが必要となります。
項目 | 内容 |
---|---|
移行前の会計ソフトのデータ | 過去の取引履歴や仕訳データなど、すべての会計情報を含む最重要データ |
前期の残高試算表 | 前期末の財務状況を正確に把握するために必要な資料 |
当期の開始残高が分かる貸借対照表 | 新年度や移行時点での正確な財務状況を反映させるために必要な資料 |
また、必要に応じて、勘定科目一覧や固定資産台帳なども用意しておくと良いでしょう。
事前準備を怠ると、移行後にデータの不整合や誤りの原因となるため、慎重に進めてください。
手順②:移行先の会計ソフトを決める
会計ソフトの移行では、新しいソフトの選定も必要です。以下の点を考慮しながら、自社に最適な会計ソフトを選びましょう。
項目 | 説明 |
---|---|
機能 | 必要な機能が揃っているか |
費用 | 初期費用や月額費用、追加機能の費用が予算に見合うか |
操作性 | 直感的なUIやカスタマイズ性はどうか |
サポート体制 | 導入後のサポート、オンラインマニュアルの充実度はどうか |
この点を十分に検討し、自社の規模や業種、将来的な成長を見据えて、最適な会計ソフトを選定しましょう。
適切な会計ソフトを選ぶことは、長期的な業務効率化とコスト削減につながります。
手順③:データを移行する
データ移行は会計ソフトの乗り換えのなかでも特に重要なポイントです。特に、データをインポートできる場合とできない場合で移行方法は大きく異なります。
以下にて、それぞれのケースについて説明します。
- データをインポートできる場合
- データをインポートできない場合
それぞれ確認しましょう。
データをインポートできる場合
データをインポートできる場合は、以下の手順で移行を進めます。
- 移行前の会計ソフトのデータをエクスポートして保存する
- 新しい会計ソフトを起動し、データインポート機能を選択する
- インポート対象のデータファイルを指定し、インポートを開始する
- インポートが完了したら、データの整合性を確認する
この方法であれば、比較的短時間で大量のデータを移行可能です。
ただし、ソフト間の互換性や、データの形式によっては、一部の情報が正確に移行されない可能性もあるため、注意が必要です。
データをインポートできない場合
データをインポートできない場合、手動でのデータ入力が必要になります。この際は、以下の手順で進めましょう。
- 新しい会計ソフトに基本情報を設定する
- 開始残高を入力する
- 取引データを入力する
- 補助的な情報を設定する
- 入力データの確認を行う
この方法は時間と労力がかかりますが、データを1つずつ確認しながら丁寧に入力をしましょう。
また、この過程で不要なデータの整理や、勘定科目の見直しなども行えるメリットがあります。
手順④:設定やデータが適切であるか最終チェックを行う
データ移行が完了したら、最後に全体的なチェックを行います。以下の点に注意して確認を進めましょう。
確認項目 | 説明 |
---|---|
データの整合性確認 | 移行前後で残高や仕訳の内容が一致しているか、勘定科目や大口の取引をチェック |
設定の確認 | 会計期間、消費税、決算月などの基本設定が正しいか確認 |
出力帳票の確認 | 試算表や損益計算書、貸借対照表などの主要財務諸表を出力し、内容が正しいか確認 |
ユーザー権限の設定 | 複数のユーザーが利用する場合、適切なアクセス権限が設定されているか確認 |
バックアップの確認 | 定期的なバックアップが正しく設定されているか確認 |
連携機能の確認 | 他のシステムと連携している場合、正しくデータが連携されているか確認 |
最終チェックで問題が見つかった場合は、すぐに修正を行います。
必要に応じて、会計ソフトのサポートセンターや、顧問税理士に相談するのも良いでしょう。
会計ソフトの移行を行うときの注意点
会計ソフトにおける移行時に注意すべき重要なポイントは、以下のとおりです。
- 移行前に、目的やメリットを明確にしておく
- 移行前と後のソフト間の互換性を確認しておく
- サポート内容について確認しておく
- 機能や操作性について確認しておく
この点に留意することで、スムーズで効果的な移行が可能です。
注意点①:移行前に、目的やメリットを明確にしておく
会計ソフトの移行を成功させるためには、乗り換えの目的やメリットを明確にしておくことが重要です。なぜなら、会計ソフトの種類は豊富にあり、それぞれ機能や特徴が多岐にわたるためです。
例えば、業務効率化を目的とするなら自動仕訳機能が充実したソフトを、財務分析の強化を目的するなら高度な分析ツールを備えたソフトを選ぶなどです。
具体的には、以下のような点を考慮します。
- 現在の会計ソフトの問題点は何か
- 新しいソフトで解決したい課題は何か
- 導入後にどのような効果を期待しているか
明確にすることで、自社のニーズに合った会計ソフトを選択でき、移行後の満足度も高まります。
注意点②:移行前と後のソフト間の互換性を確認しておく
会計ソフトの移行において、データの互換性の確認は極めて重要です。互換性の問題によってデータの損失や不整合が生じるからです。
会計ソフト間でデータ形式や構造が異なることケースは多く、例えば、勘定科目の体系や仕訳のフォーマットが異なると、データの移行に不都合が生じます。
互換性を確認する際にチェックしておきたいポイントは、以下のとおりです。
- データのエクスポート/インポート形式の確認
- 勘定科目や仕訳データの互換性チェック
- 過去のデータの移行可能範囲の確認
例えば、CSVやExcel形式でのデータ移行に対応しているか、API連携が可能かなどを事前に確認しておくことが重要です。
互換性の問題を事前に把握し対策を立てることで、スムーズなデータ移行が可能になります。
注意点③:サポート内容について確認しておく
新しい会計ソフトへの移行時は、以下のような予期せぬ問題や疑問が生じやすいため、適切なサポートがあれば迅速に解決できます。
- 移行作業中の技術的な問題
- 新しいソフトの操作方法や機能に関する質問
- データ移行後の不具合や誤りへの対応
例えば、電話サポートの対応時間、メールでの回答速度、オンラインチャットの有無などを確認します。また、マニュアルやサポートページの充実度、トレーニングプログラムの有無なども確認しておくと良いでしょう。
適切なサポート体制があることで、移行時の不安を軽減し、新しい会計ソフトをより効果的に活用できるでしょう。
注意点④:機能や操作性について確認しておく
会計ソフトの移行時には、新しいソフトの機能や操作性も十分に確認してください。日々の業務効率や従業員の満足度に直接影響するためです。
例えば、複数の担当者が実際にデモ版やトライアル版を使用して、以下の点をチェックすることをおすすめします。
- 画面の見やすさや操作の直感性
- 仕訳入力や帳票出力などの基本機能の使いやすさ
- カスタマイズ性や他システムとの連携性
普段会計ソフトを使用する経理担当者はもちろん、経営者や他部門の管理者など、さまざまな立場の人がチェックしておくと良いでしょう。
結果として、自社の業務効率向上につながる会計ソフトを選択できます。
会計ソフトのデータ移行ならReaLightへご相談ください
会計ソフトの移行は、ビジネスの成長や環境変化に合わせて行うものです。
会計ソフトの移行には、様々な課題が発生しますが、慎重に準備を進めることでスムーズな移行を実現できます。
ReaLightでは、各企業様に最適な会計システムの検討・導入やデータ移行のサポートを行っています。また、データ移行だけでなく、現行システムとの並行稼働や操作指導、その後のアウトソーシング業務など包括的な支援を行っています。
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