マネーフォワードを利用して経理業務の効率化を図ろうとしているものの、他のシステムとの連携に悩んでいませんか?
日々の業務で手作業による入力ミスや、複数のシステムを行き来する煩わしさを感じている方もいるかもしれません。
マネーフォワードには様々なシステムやサービスとAPIを通じて連携できる機能があり、うまく活用できれば、データの自動取得や入力作業の省力化を実現し、経理業務の効率が向上するのです。
しかし、API連携について詳しく知らない方も多いでしょう。そこで今回は、マネーフォワードのAPI連携について、そのメリットや具体的な活用方法、注意点までを詳しく解説します。
業務効率化を図りたい方は、ぜひこの記事を読んでみてください。
マネーフォワードのAPI連携とは?
APIは「Application Programming Interface」の略で、異なるソフトウェア間でデータやコマンドをやり取りするための仕組みです。
つまりマネーフォワードのAPI連携とは、マネーフォワードと他のシステムやサービスを効率的に結びつける仕組みのことです。具体的には、以下のようなことができます。
- 銀行口座や電子マネーの取引データを自動的に取得し、マネーフォワードに反映させる
- 請求書や領収書のデータを他のシステムから直接マネーフォワードに送信する
- マネーフォワードで管理している会計データを他のビジネスツールで活用する
API連携により、手動でのデータ入力や転記作業の手間が削減され、経理業務の効率化とミス防止につながります。また、リアルタイムで財務状況が把握できると、より正確な経営判断が可能となるでしょう。
このように、API連携は単なる技術的な機能ではなく、ビジネスプロセス全体を最適化するための重要なツールとして注目されています。
次の項目で、このAPI連携がもたらす具体的なメリットについて詳しく見ていきましょう。
マネーフォワードのAPI連携を利用するメリット
マネーフォワードのAPI連携を利用することで、以下のようなビジネスにおける様々なメリットが得られます。
- より簡単・確実に明細を取得できる
- 経理業務の効率化を図ることができる
- 連携により入力ミスを減らせる
各メリットについて、詳しく見ていきましょう。
メリット①:より簡単・確実に明細を取得できる
マネーフォワードは100以上の金融機関とAPI連携ができ、簡単かつ確実に明細を取得できます。
従来は、電子証明書連携ソフトなどの専用ソフトウェアを使用し、オーナー権限で取得を行う必要がありましたが、マネーフォワードのAPI連携によってこの手間が省けます。さらに、金融機関のWebサイト上のお知らせなどによって明細取得が妨げられるリスクも軽減されます。
API連携では、定期的な認証によって日々の取得が可能となり、電子証明書の頻繁な使用も不要です。
このように、スムーズで安定的に明細取得を行えるため、経理担当者の負担が軽減され、より重要な分析や戦略立案に時間を割くことができるでしょう。
メリット②:経理業務の効率化を図ることができる
マネーフォワードのAPI連携は、経理業務の効率化に大きく貢献します。
案件管理システムや販売管理システムなど、様々な用途に合わせてAPI連携が可能であり、これにより業務プロセス全体の最適化を図れるためです。
特にPOSシステムやECサイトなど、膨大な売上データを扱う業態では、API連携の効果が顕著です。例えば、日次の売上データを自動的にマネーフォワードに取り込むことで、手動入力の手間が省けるだけでなく、リアルタイムでの財務状況の把握が可能となります。
このように、複数のシステム間でのデータ連携がスムーズになることで、経理部門だけでなく、営業や経営企画など他部門との情報共有も容易になり、組織全体の業務効率化にも寄与します。
メリット③:連携により入力ミスを減らせる
API連携の大きな利点の1つが、人為的ミスの削減です。
マネーフォワードと他のシステムを連携させることで、既に登録されているデータを簡単かつ正確に取り込むことができます。これにより、手入力による転記ミスや入力漏れのリスクが低減できるのです。
例えば、請求書作成システムとの連携では、顧客情報や商品情報を自動的に取り込むことができ、入力ミスによる請求金額の誤りや顧客とのトラブルを防げます。
また、給与計算システムとの連携では、従業員情報や勤怠データを正確に反映させることができ、給与計算の精度も向上します。
このように、API連携によってデータの正確性が向上するため、結果として業務効率化と信頼性の向上が同時に実現できるのです。特に大量のデータを扱う企業や、複雑な会計処理を要する企業にとって、大きなメリットといえるでしょう。
マネーフォワードで金融機関とAPI連携する方法
マネーフォワードでは、金融機関とAPI連携することで、より効率的に口座情報や取引データを管理できます。
この連携により、手動での入力作業が削減され、リアルタイムでの財務状況把握が可能です。
以下では、具体的な連携手順を3つのステップで解説します。
- 金融機関の新規登録画面を開き、金融機関を選択する
- 選択後表示されるボタンを押す
- 必要事項を入力し連携を行う
この手順を踏むことで、APIを活用した効率的な金融管理が実現できます。
手順①:金融機関の新規登録画面を開き、金融機関を選択する
マネーフォワードで金融機関とAPI方式で連携するには、まず金融機関の新規登録画面を開き、連携したい金融機関を選択します(※1)。
この画面は、マネーフォワードのダッシュボード画面から簡単にアクセスできるようになっています。金融機関の一覧から、API連携に対応している機関を探してください。
手順②:選択後表示されるボタンを押す
金融機関を選択すると、API連携のためのボタンが表示されます。
このボタンをクリックすると、選択した金融機関のログインページに自動的に移動します。この移動は、マネーフォワードと金融機関のシステム間で安全に行われるため、セキュリティ面での心配はいりません。
金融機関のページに移動したら、通常のオンラインバンキングと同様に、自分の口座情報でログインする準備をしてください。
この段階で、API連携の許可を求められる場合もあります。その場合は、連携の内容をよく確認した上で、「許可」をしてください。
手順③:必要事項を入力し連携を行う
金融機関のページにログインしたら、API連携のための必要事項を入力します。
これにはユーザーID、パスワード、そして場合によっては追加の認証情報が含まれます。すべての情報を正確に入力し、連携を承認してください。
ただし、APIのアクセス許可は通常30日から100日で失効するため、定期的な再連携が必要となります。再連携の頻度は金融機関によって異なるため、マネーフォワードからの通知がきたタイミングで再連携を行うようにしましょう。
マネーフォワード クラウド請求書APIの利用方法
マネーフォワード クラウド請求書は、様々な用途に合わせてAPI連携が可能な優れたツールです。マネーフォワード クラウド請求書で提供している機能の一部を他システムでも利用できるため、請求書作成プロセスを自動化し、業務効率を向上できます。
ここでは、「マネーフォワード クラウド請求書API v3」を利用する具体的な流れについて解説します。
- アプリケーションを作成
- アクセストークンを発行
- 請求書を作成
この手順を実践することで、APIを活用した効率的な請求書管理が実現できるでしょう。
手順①:アプリケーションを作成
まず、マネーフォワード クラウドの「アプリポータル」でAPIを利用するアプリケーションを作成します。
この過程は以下の手順で進めます。
- マネーフォワード クラウドにログインし、「API連携(開発者向け)」画面に移動します
- 画面上の「APIの利用を開始する」ボタンをクリックします
- クリック後、マネーフォワード クラウドの「アプリポータル」に自動的に切り替わります
- アプリポータルの画面の指示にしたがって、新しいアプリケーションを作成します
この手順では、アプリケーション名やリダイレクトURIなどの基本情報を入力する必要があります。また、APIの利用目的や使用するスコープ(アクセス権限)も設定します。
この情報は後のステップで必要となるため、正確に入力することが大切です。
アプリケーションの作成が完了すると、次のステップで使用するClientIDとClientSecretが発行されます。
手順②:アクセストークンを発行
アクセストークンの発行は、マネーフォワード クラウドの「アプリポータル」で取得したアプリ情報を使用して行います。
具体的には、以下の手順を踏みます。
- STEP1で登録したアプリ情報(ClientIDとClientSecret)を利用します
- OAuth2.0の認可の仕組みを使用してアクセストークンを取得します
- アプリポータルでアプリ連携権限の設定を行います
- ユーザーはブラウザから認可エンドポイントにアクセスし、認可コードを取得します
- 取得した認可コードを使って、トークンエンドポイントからアクセストークンを取得します
認可エンドポイントとは、ユーザーがアプリケーションにアクセス権を付与するための画面にリダイレクトされるURLのことです。
注意点として、アクセストークンの有効期限は短いため、定期的な更新が必要です。
この更新には、同時に発行されるリフレッシュトークンを利用します。リフレッシュトークンを使用することで、ユーザーの再認証なしにアクセストークンを再発行でき、APIの継続的な利用が可能となります。
手順③:請求書を作成
アクセストークンの取得後、いよいよ請求書の作成に移ります。
この過程では以下の3つの手順を踏みます。
- 取引先の基本情報(会社名、住所、連絡先など)を入力する
- 作成した取引先の部署を設定
- 旧形式または新形式を選択し、 請求書を作成
また、エラーが発生した場合の処理方法(エラーハンドリング)を適切に行い、APIからのレスポンスを正しく処理することで、安定した請求書作成プロセスを実現できます。
マネーフォワードのAPI連携時に考えられる3つのデメリット
マネーフォワードのAPI連携は多くのメリットをもたらしますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。
マネーフォワードに限った話ではなく、API連携を利用する際に一般的に考慮すべき3つのデメリットについて解説します。
- 連携先に仕様変更が起きたら自社アプリやコンテンツに影響が出る
- セキュリティ対策サービスの導入には費用が発生する
- 費用がかかる場合がある
この課題を理解し、適切に対処することで、API連携のメリットを最大限に活用しつつ、リスクを最小限に抑えることができます。
デメリット①:連携先に仕様変更が起きたら自社アプリやコンテンツに影響が出る
API連携においてもっとも注意すべき点の1つが、連携先サービスの仕様変更です。マネーフォワードのAPI連携に限らず、連携先のサービスに仕様変更があった場合、それに合わせて自社のアプリケーションやコンテンツの修正が必要です。
この問題に対処するためには、常に連携先の動向を注視し、変更のタイミングや修正内容を把握しておき、変更後も問題なくアプリケーションを使用できるよう、迅速かつ適切な対応が求められます。
特に重要な業務プロセスにAPI連携を利用している場合、仕様変更による影響は大きくなります。そのため、定期的なテストや、変更に備えたバックアッププランの準備も検討すべきでしょう。
ただし、マネーフォワードなどのAPI連携を提供する事業者がこのデメリットに対応しているため、過度な心配する必要はないと思われます。
デメリット②:セキュリティ対策サービスの導入には費用が発生する
API連携を利用する際、セキュリティは最重要課題の1つです。APIの設計ミスや不具合によってセキュリティホールを生み出す危険性があるため、適切なセキュリティ対策の導入が不可欠です。
マネーフォワードを含む多くのAPI提供元は、「OAuth 2.0」や「FAPI(Financial-grade API)」といった高度なセキュリティ技術を採用しています。
OAuth 2.0は、ユーザーが自身の判断で情報共有を許可できる仕組みを提供し、3者間(ユーザー、サービスA、サービスB)で安全にAPIを利用することを可能にします。
一方、FAPIはOAuth 2.0を金融サービス用に強化した技術仕様です。クライアントのなりすまし対策、許可コードの漏えい防止、ユーザー認証の強化などを実施し、金融分野におけるAPIのセキュリティレベルを向上させています。
この技術を適切に実装し、定期的なセキュリティ監査を行うことで、API連携におけるリスクを最小限に抑えることができます。ただし、この対策には専門知識や追加のリソースが求められる点に注意が必要です。
通常、マネーフォワードなどのAPI連携を提供する事業者がこのデメリットに対応しているため、過度な心配する必要はないと思われます。
デメリット③:費用がかかる場合がある
API連携の利用に関しては、費用面での考慮も重要です。多くのAPIは無償で利用できますが、利用頻度や規模に応じて費用が発生する場合もあります。そのため、API連携の導入を検討する際には、事前に費用面での確認が必要です。
ただし、マネーフォワードのAPI連携自体に別途料金は発生しません。マネーフォワードの基本サービスの一部として提供されているため、追加の費用負担なくAPI連携の恩恵を受けることができます。
しかし、API連携を最大限に活用するためには、開発リソースやセキュリティ対策、保守管理などに関連する間接的な費用が発生します。この潜在的なコストも考慮に入れ、API連携導入によるメリットと比較検討することが重要です。
また、将来的なスケールアップや機能拡張を見据えた場合、追加の投資が必要になります。長期的な視点で費用対効果を評価し、ビジネスの成長に合わせた柔軟な計画を立てましょう。
マネーフォワードのAPI連携を活用しよう
マネーフォワードのAPI連携は、経理業務の効率化と正確性の向上に大きな可能性を秘めています。
本記事で紹介したメリットを最大限に活用し、デメリットに適切に対処することで、ビジネスプロセスの最適化を実現できるでしょう。
API連携の導入を検討する際は、自社の業務フローや目標を明確にし、段階的に実装していくことをおすすめします。
ReaLightでは、会計システムや固定資産、経費精算など様々なシステム導入、DX支援の経験豊富な公認会計士が在籍しています。
導入前のコンサルティングから導入後のサポートまで、一貫して高品質なサービスを提供しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。