IPO(新規株式公開)は、企業にとって大きな成長の節目となるイベントです。しかし、その準備には専門的な知識と経験が必要で、大阪を拠点とする企業が上場を目指す場合、地域に精通した支援企業を選ぶことが成功への近道となります。
本記事では、IPO支援の基本から、大阪でおすすめのIPO支援企業、選び方のポイント、依頼する際の注意点まで詳しく解説します。どのような専門家と組むべきか、どのような点に気をつけるべきかを理解し、IPO成功のための参考にしてください。
IPO支援とは?

IPO支援とは、企業が株式公開を目指す際に必要な準備をサポートするサービスのことです。上場準備の初期段階から上場後のフォローまで、企業の状況に応じたサポートを受けられます。
通常、上場するためには財務体制の整備、内部統制の構築、各種法令への対応など、多くの準備が必要となります。このIPOを成功させるために、監査法人・証券会社・コンサルタント・弁護士などの専門家が連携して、上場に向けたさまざまな課題を解決するのがIPO支援のサービスなのです。
特に経理・財務体制が十分でない成長企業にとって、専門家のサポートは上場への近道です。大阪エリアでも多くのIPO支援企業が活動しており、地域の特性を理解した上でのサポートを受けることができます。
IPO支援の業務内容

IPO支援の業務内容は多岐にわたりますが、主な業務内容としては以下の項目が挙げられます。
- 上場に向けたスケジューリングの支援
- 資本政策の策定
- 財務・会計の整備
- 内部統制の構築
- 証券会社・監査法人との調整
- 上場申請書類の作成・審査対応
- IR戦略(投資家向け広報活動)
それぞれの業務内容について詳しく見ていきましょう。
(1)上場に向けたスケジューリングの支援
上場・市場変更までのスケジュールを提案し、各段階での課題を明確にしていくのは、IPO支援における重要な業務です。通常、IPO準備には最短でも3年程度の期間を要し、会社の体制整備、監査対応、上場審査などさまざまなプロセスを計画的に進める必要があります。
IPO支援企業は、上場までの道のりを「上場準備フェーズ」「監査対応フェーズ」「上場審査フェーズ」などに分け、各フェーズでの重要タスクを整理します。また、証券取引所や監査法人との調整も含めた全体スケジュールを作成し、プロジェクト管理を行ってくれるのも特徴です。
(2)資本政策の策定
IPOを成功させるために、上場時の株式構成や資本調達戦略を計画し、ベンチャーキャピタル(VC)・投資家向けの戦略立案を行う資本政策の策定も依頼できます。
- 公開価格の設定
- 公開株式数の決定
- 株主構成の最適化
- 上場前の資金調達(プレIPOファイナンス)のタイミングと調達方法の提案
上記のほか、創業者や既存株主の持株比率、ロックアップ期間(株式売却制限期間)の設定なども重要な検討事項です。IPO支援企業は、企業価値を最大化しつつ、安定した株主構成を実現するための戦略を提案します。適切な資本政策は、上場後の株価安定にも大きく影響するため、専門家の知見が重要となります。
(3)財務・会計の整備
IPOには高い財務透明性が求められることから、監査法人の選定、監査対応、財務諸表の作成など、財務・会計面での整備が必要です。IPO支援企業は、こうした収益の透明性確保・適正な会計処理の導入もサポートします。
- 会計基準への準拠
- 内部統制の整備
- 適切な開示体制の構築などの支援
- 監査法人とのコミュニケーション方法
- 必要書類の準備
- 監査スケジュールの調整などの支援
財務・会計面での不備は上場審査における大きな障害となるため、上記を含め、早期からの整備が必要です。
(4)内部統制の構築
上場基準を満たすための社内体制整備、コンプライアンス・ガバナンス強化(取締役会・監査役の設置)などの内部統制の構築にまつわる支援も受けられます。
- 内部統制システムの構築
- 業務フローの整備
- 各種規程の作成
- J-SOX(日本版SOX法)への対応
また、取締役会や監査役会の設置・運営方法、社外役員の選任なども重要な課題です。コーポレートガバナンス・コードへの対応も含め、上場企業としての体制整備を支援します。内部統制の不備は上場審査での重大な問題となるため、専門家のサポートを受けながら着実に整備を進めることが重要です。
(5)証券会社・監査法人との調整
IPOには、主幹事証券会社との交渉サポートや、監査法人とのやり取り・書類準備など、外部機関との調整も欠かせません。こうした面においても、主幹事証券会社の選定から契約交渉、上場審査対応までをサポートしてくれます。
- 主幹事証券会社との関係構築
- 監査法人との円滑なコミュニケーション
- 企業の魅力を最大限に伝えるためのアドバイス
外部機関との調整は専門知識と経験が必要なため、IPO支援企業のサポートが大きな助けとなるでしょう。
(6)上場申請書類の作成・審査対応
IPO申請に必要な書類作成(有価証券報告書、事業計画書など)や、証券取引所の審査基準に適合するための準備のサポートも依頼できます。
- Iの部(決算情報や事業内容を記載した書類)の作成支援
- IIの部(会社の成長性や事業リスクを説明する書類)の作成支援
上記に加え、証券取引所による上場審査への対応として、予想される質問への回答準備、プレゼンテーション資料の作成、模擬面談の実施なども支援してくれます。上場申請書類は企業の将来性や信頼性を示す重要な資料であり、専門家のサポートを受けながら丁寧に作成しておくと安心です。
(7)IR戦略(投資家向け広報活動)
IPO成功後も継続的な企業価値向上が必要なことから、投資家向け対応(IR戦略)や、市場評価を高めるためのプレゼン・説明会の実施サポートも重要な支援内容です。
具体的には、IR資料の作成、投資家向け説明会の企画・運営、アナリスト対応などをサポートします。また、適時開示のルールや方法についても指導を行います。
上場後の株価安定には継続的なIR活動が不可欠であり、IPO支援企業は上場後のフォローアップも含めた支援を受けられるのです。
大阪のIPO支援でおすすめの企業4選

大阪には多くのIPO支援企業がありますが、その中でも特におすすめの4社を紹介します。それぞれの企業の特徴や強みを比較してみましょう。
企業名 | 所在地 | 主な支援内容 | 強み |
---|---|---|---|
ブリッジコンサルティンググループ株式会社 | 大阪府大阪市北区梅田 | ・IPO総合支援 ・Iの部(決算開示資料)作成 ・IIの部・各種説明資料作成 ・資金調達 ・クイックレビュー | さまざまな実績を持つ専門家が実務対応 |
株式会社AGSコンサルティング | 大阪府大阪市北区梅田 | ・IPOに向けた事業計画の作成 ・資本政策の策定 ・会計制度の整備 ・諸規程の整備 ・内部監査の整備 ・予実管理体制の整備 | 会計・税務等の専門家がバランスよく在籍 |
株式会社WARC | 大阪府大阪市北区梅田 | ・IPOプロジェクトマネジメント ・Iの部などの開示書類作成 ・社内規程作成 | 事業理解の深いプロによる徹底したハンズオン支援を実行 |
株式会社タスク | 大阪府大阪市中央区北浜 | ・中期経営計画策定支援 ・社内規程集作成支援 ・事務フローチャート作成支援 ・Iの部作成支援 ・IIの部作成支援 など | 約500社におよぶIPO支援の実績を持つ |
それでは、各社の特徴を詳しく見ていきましょう。
(1)ブリッジコンサルティンググループ株式会社
ブリッジコンサルティンググループ株式会社は、東京都港区に本社を置き、大阪事務所を梅田に構えている企業です。IPO支援において全国で業界トップクラスの実績を誇っています。内部統制・財務・経営管理の支援が強みで、監査法人出身者が多く在籍し、実務的な支援を提供している点が特徴です。
同社の支援は、IPO準備の初期段階から上場後のフォローまで一貫しています。「上場・市場変更プロジェクト管理支援」では、必要なタスクを整理して最適なスケジュールに落とし込み、プロジェクト全体を管理します。また、「Iの部(決算開示資料)」「IIの部・各種説明資料」の作成支援が充実している点も強みです。
(2)株式会社AGSコンサルティング
株式会社AGSコンサルティングは、公認会計士113名、税理士116名を率いる会社です。本社は東京都千代田区にあり、大阪事務所は梅田に構えています。クライアントと一体となってIPOプロジェクトを推進し、手を動かしてサポートを行っていることが特徴です。
同社のIPO支援では、事業計画の作成、資本政策の策定、会計制度の整備、諸規程の整備、内部監査の整備、予実管理体制の整備など、上場に必要なすべての領域をカバーしています。大阪オフィスを拠点に関西企業のIPO支援も積極的に行っています。
(3)株式会社WARC
株式会社WARCは、CFO支援・財務戦略に特化したコンサルティング企業です。本社は東京都品川区にあり、梅田に大阪事務所を構えています。IPO準備企業向けの経営管理・ガバナンス強化の支援を行っており、経理・財務人材の採用支援も行っているため、上場準備体制を整えるのに適しています。
IPOプロジェクトマネジメント、開示書類作成、社内規程作成など、実務レベルでの支援が充実しています。
また、単なるアドバイスにとどまらず、実際に企業に入り込んで業務を遂行するスタイルが特徴です。リソースが限られた企業にとって心強いパートナーになるでしょう。
大阪を拠点とする企業のIPO支援実績も豊富で、関西企業の特性をふまえたサポートに期待できます。
(4)株式会社タスク
株式会社タスクは、東京都豊島区に本社を置き、北浜に大阪支店を構えています。IPOに特化したコンサルティング会社で、監査法人・証券会社・取引所との調整支援が充実しており、監査対応、資本政策、経営管理の強化までワンストップで対応できる点が特徴です。
同社は500社以上のIPO支援の実績を持ち、その豊富な経験を活かした実践的なサポートが強みです。中期経営計画策定支援、社内規程集作成支援、事務フローチャート作成支援、Iの部、IIの部作成支援など、上場に必要なすべての領域をカバーしています。
また、大型IPO案件や特設注意市場銘柄解除コンサルティングなど、難易度の高いプロジェクトの実績も豊富です。
IPO支援を依頼する企業の選び方

IPO支援企業を選ぶ際には、以下のポイントを考えることが重要です。
- 大阪・関西圏での実績・経験が豊富か
- 支援範囲が自社のニーズに合っているか
- コスト感は適正か
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
(1)大阪・関西圏での実績・経験が豊富か
IPO支援企業を選ぶ際には、過去にIPOを成功させた企業の支援実績があるかどうかに注目することが重要です。特に大阪・関西圏での実績があれば、地域特有の事情にも精通していると考えられます。
実績を確認する際には、単に支援企業数だけでなく、自社と似た業種や規模の企業の支援経験があるかどうかも確認しましょう。例えば、IT企業とメーカーでは必要な支援内容が異なりますし、ベンチャー企業と老舗企業でも課題が違います。
また、支援実績を公開している企業は信頼性が高い傾向にあります。企業選びの際には、ホームページやSNSなどから実績について確認するようにしましょう。
(2)支援範囲が自社のニーズに合っているか
IPO支援の内容は、財務・会計、内部統制、IR戦略など、多岐にわたります。自社の弱みや課題を把握した上で、カバーできる支援内容を提供している企業を選びましょう。
例えば、財務体制が弱い企業であれば財務・会計の整備に強い支援企業、ガバナンスに課題がある企業であれば内部統制構築に強い支援企業が適しています。
また、上場までの長期間にわたるサポートが可能かどうかも重要です。IPO準備は最短でも3年程度かかるため、長期的な関係を築ける企業を選ぶと良いでしょう。
(3)コスト感は適正か
IPO支援にかかるコストは企業によって大きく異なるため、予算に見合った支援が受けられるかを確認することもポイントです。IPO支援の費用体系は、月額固定制、成功報酬制、ステージごとの従量制などがあるため、自社の予算と照らし合わせて最適な費用体系を選びましょう。
ただし、単に安いだけの企業を選ぶのは危険です。IPO支援は専門性の高いサービスであり、適切な対価を支払うことで質の高い支援を受けられることから、コストパフォーマンスを重視して選ぶことが大切です。
契約前に複数の企業から見積もりを取り、コスト感が適切な会社を選ぶようにしましょう。
IPO支援を依頼するときの注意点

IPO支援を依頼する際には、以下の点に注意することが重要です。
- IPOの目的を明確にする
- 主幹事証券会社・監査法人の選定を慎重に行う
- 社内の体制を整備する
それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。
(1)IPOの目的を明確にする
IPOをする理由(資金調達・信用向上・事業拡大)を明確にすることは、支援企業との連携においても重要です。
IPOの目的が「資金調達」なのか、「企業の信用力向上」なのか、「創業者の株式売却(イグジット)」なのかによって、準備すべき内容や重点的に取り組むべき課題が変わってきます。
例えば、資金調達が目的であれば調達資金の使途を明確にした事業計画の策定が、信用力向上が目的であればコーポレートガバナンスの強化やブランディング戦略が重要になるでしょう。
IPO支援企業に目的を明確に伝えることで、より効果的なサポートを受けられます。また、社内でもIPOの目的を共有することで、全社一丸となって準備を進められます。
(2)主幹事証券会社・監査法人の選定を慎重に行う
どの証券会社・監査法人と組むかで、IPOの成功率が大きく変わるため、主幹事証券会社・監査法人の選定を慎重に行う必要があります。
主幹事証券会社は、上場審査のサポートだけでなく、公開価格の決定や投資家への販売も担当します。自社の業種や規模に適した実績を持つ証券会社を選ぶと良いでしょう。
監査法人も同様に、上場審査では監査法人の監査報告書が必須となります。自社の業種に精通した監査法人を選ぶことで、スムーズな監査対応が可能です。
IPO支援企業は、主幹事証券会社・監査法人の選定においても適切なアドバイスを提供してくれます。特に大阪・関西圏での実績がある支援企業であれば、地域の証券会社や監査法人との関係も構築されていることが多く、スムーズな連携が期待できるでしょう。
(3)社内の体制を整備する
上場企業としての管理体制(ガバナンス・コンプライアンス)を確立することは、IPO成功の大前提です。一朝一夕に整備できるものではないため、十分な時間をかけて構築していく必要があります。
例えば、取締役会や監査役会の設置・運営、内部統制システムの構築、各種規程の整備などが挙げられます。加えて、IPO準備を担当する経理・財務、法務、IR担当など、各部門の責任者を明確にし、プロジェクトとして進める体制を整えましょう。
IPO支援企業であれば、体制整備についても具体的なアドバイスを提供してくれます。ただし、最終的に運用するのは自社の社員であるため、外部に依存しすぎず、社内での理解と浸透を図ることが重要です。
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IPO準備には財務・会計の整備が不可欠であり、適切な会計システムの導入が成功への鍵となります。IPO支援企業の選び方にもポイントや注意点がありますが、会計システム導入の面でもプロのサポートが必要です。
IPO成功に向けた会計システム導入でお悩みなら、ReaLightにご相談ください。ReaLightは「経理にLIGHTを」をミッションに掲げ、経験豊富な公認会計士が、IPOに必要な経理システムの診断・導入をサポートします。
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